ガラスの靴

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ガラスの靴

昔昔、あるところにシンデレラが階段を駆け降りていました。 「きゃ~っ!時間がな~い!」 12時の鐘がなっている。 「もう、あのバカ王子!帰らなきゃいけないって言ったのに!」 何か、えらくご立腹な様子だ。 急ぐあまり片方の靴が脱げてしまった。 「こんな硬い靴じゃ走れないわ!」 シンデレラは脱げた靴はそのままに、もう片方も投げ捨てて裸足で走り出した。 シンデレラの魔法が切れるのは、12時の鐘がなり終わるまで。 とにかく走った。 出来るだけその場から遠くに行こうと…。 何とか森の中まで走り、そこで魔法が切れた。 みすぼらし姿に戻ったが、何故かシンデレラはほっとしていた。 「王子って、あんないけすかない奴だったなんて… 見た目だって噂以下じゃない! あれじゃあ、詐欺だわ! あぁあ、どこかに本物のイケメン王子様っていないのかしら?」 そんな(大きな)独り言を言っていたら…。 「やれやれ、お主は我が儘じゃな…」 シンデレラに魔法を掛けた魔法使いが現れた。 「我が儘なのはあの王子の方よ 王子なのを良いことにやりたい放題じゃない しかもマザコンだし…」 「では、本物の王子様に合わせてやろうか?」 魔法使いはリンゴをシンデレラに差し出した。 「リンゴが、王子様になるの?」 「これは毒リンゴじゃ 食べれば二度と目を覚まさない」 シンデレラは受け取ろうとした手を引っ込めた。 「何それ!?私を殺すつもり?」 「最後まで話を聞かんか! 本物の王子様がキスをすれば目覚めるんじゃよ 果報は寝て待てと言うじゃろ?」 魔法使いは「どうする?」と毒リンゴをシンデレラの目の前に持ち上げた。 シンデレラは魔法使いから毒リンゴを受け取ると迷わずにかぶり付いた。 シンデレラは本物の王子様が現れるまでいつまでも眠り続けたが、王子様は一向に現れない。 そのうちに王国はなくなり、王子様が存在しない世界となった。 しかし、シンデレラは素敵な王子様にキスされる夢を見ながら、幸せそうな寝顔で永遠に眠り続けました。 めでたし、めでたし…?。
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