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まさかりの行方
昔昔、ある山に金太郎が住んでいました。
金太郎はまさかり担いで山に薪を取りに行く。
「これならかなりの量の薪になるな」
金太郎は早速大木を見つけ、まさかりを振り上げた。
「あっ!」
手が滑り、まさかりはすぐ脇の湖に落ちてしまった。
「しまった!大事なまさかりがっ!」
金太郎は湖の畔でガックリと手を付いた。
すると湖面が波立って光出した。
「私は湖の女神…
あなたが落としたのは、この金の斧ですか?
それとも、この銀の斧ですか?」
湖から現れた女神は金と銀の斧を持っていた。
「俺が落としたのはまさかりだ!
斧じゃねぇよ!」
「何て正直な若者なんでしょう
この金の斧と銀の斧を差し上げましょう」
女神は二本の斧を差し出した。
「だから!まさかりだって言ってんだろ!」
金太郎は二本の斧を湖に投げ捨てた。
それを見た女神の様子が変わった。
「何しやがんだ!ごらっ!
あんなボロいまさかりより、金と銀の斧の方が高えんだぞ!分かってんのか!?」
女神と言うより魔女の様な形相で怒り出した。
「何だと!?てめぇこそ金や銀みてえな柔らかい斧で木が伐れると思ってのかっ!?」
金太郎も負けじと言い返す。
そんな二人の様子を木陰から見ている者がいた。
「喧嘩しないで仲直りしてください」
「「誰だ!?」」
木陰から女の子が出てきた。
「なんだお前は!?」
金太郎が睨んだ。
「私は赤ずきんです
このワインとケーキで仲直りしませんか?」
赤ずきんは持っていた籠からワインとケーキを出した。
女神は「ケーキが食べたいわ」と言い、金太郎は「酒なら飲むぞ」と言って仲良く頂いた。
二人を仲直りさせた赤ずきんは、籠が空になったのでおばあさんのうちには行きませんでした。
めでたし、めでたし。
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