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勘違い
昔昔、ある浜に浦島太郎がたどり着きました。
「うむ…、ここは何処だ?」
浦島は亀に見たことのない浜辺に連れて来られた。
「では、私はこれで失礼します」
亀は浦島の返事も聞かずに海へ帰っていった。
「おい!こんなところに置いてくな!」
浦島は怒鳴ったが亀はもう海の中、聞こえるはずもなく空しく響くだけだった。
「お兄さん、旅の人かな?」
浦島に声を掛けたのは、小さな小さな老婆だった。
「!!!!……お…おばあさん?ですよね?」
浦島の手に乗るくらい小さなおばあさんに浦島は腰を抜かしそうになった。
「お兄さんはガリバーさんと同じ巨人族だね」
「巨人族!?………確かにおばあさんから見れば巨人ですが…
…と、ところで、ここは何処ですか?」
「ここはリリパット国じゃ…」
「り、りりぱっと国?(…聞いたことがない)
…そ、そのがりばーさんって?」
浦島は混乱しながらも何とか質問する事が出来た。
「その昔、やはりこの浜に打ち上げられた旅人だよ
当時は巨人族がいるなんて知らなかったから、それは大騒ぎだったそうじゃ」
浦島は小人の国に着たと思った。
「そのがりばーさんはどうなったんですか?」
「隣国との戦争を終わらせてくれて自分の国に帰ったそうじゃ
我が国の英雄じゃよ」
おばあさんは嬉しそうに話した。
「それでは、私も帰れるかも知れない…」
浦島は僅かな希望が見えた。
「お兄さんは何でこの国に?」
「それが亀に連れて来られて…」
浦島はそう言うと竜宮城で貰った箱の事を思い出した。
「…そう言えば、この箱には何が入ってるんだ?」
浦島は玉手箱を開けてしまった。
箱の中から大量の煙が立ち上がり浦島は煙の中に隠れてしまった。
風が吹き煙が流れると浦島の姿はおばあさんと同じ大きさになっていた。
「…う、嘘…小人になった?これじゃあ帰れない…」
「あらあら…
お兄さん、良かったら私の家で暮らしなさいよ
子供が使っていた部屋が空いてるから…」
浦島はおばあさんの申し出を断れなかった。
浦島はリリパット国で幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。
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