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こんな情けなく 弱すぎる俺を
パパと呼び 手を振るあの子の前で
涙をみせる訳にはいかない
精一杯の笑顔をみせて
腕がちぎれる程 両手を振った
あの子がパパという男は
違う誰かにもうすぐ変わる。
俺だけがいない新しい家族のこれからの思い出は
ちいさな脳の記憶に
静かに上書きされていくのだろう
海の深く濃い 碧の色は
全開の太陽のシャワーを浴びて
水面に弾く細粒の砂金の光は
波の端で何度も煌く
空に持ち上がる白い白い入道雲は
高く澄み通る 純な水色に向かい
地から響く音の正体の 白波と共に
水平線からやってきた
強い 潮の香り
麦わら帽子のあの子は
生気溢れる 夏の海と一緒に キラキラと
とても目を開けていられない
眩しい輝きの笑顔を
消えそうなパパに向けている。
俺は一生分のメモリを使って
俺の幸せの最後の時を写した
この世で一番美しい海の記憶を焼き付けた
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