妖精の揺蕩う森

74/74
646人が本棚に入れています
本棚に追加
/781ページ
   何とかベルファンさんを風呂から救出して-- 気絶してるけど-- 食堂に戻ってきたら、どうやら女子会は終了の様子。  僕達はそれぞれに部屋が充てられているけど、ギルドマスターは何処に私室があるんだろう? このまま放置してたら風邪をひくんだけど……。 「適当な椅子に座らせて、毛布の二枚でも掛けておけ。 普段からボロを着ているのだ、湯冷め程度でどうこうはならん」 「は、はぁ……」 「クラリス、部屋へ戻りましょう。 久々に柔らかいベッドで寝れるわ」 「エリオットとアイリスもゆっくりと休め。 おっと、今晩はルミも一緒だったか」 「ママの隣で一緒に寝たい!」 「うんうん、お兄ちゃんは床で毛布にくるまってれば大丈夫だから。 ルミと一緒ならベッドは広いよ」 「僕だけ酷い扱い……! って、ベルファンさんの方が酷いか」 「気絶したまま放置されて毛布だけっつーよりは、遙かにマシだぁなぁ」 「ナコちゃんも一緒に寝るの?」 「俺様ぁ、湯たんぽ代わりなんでぇ」 「ゆたんぽ?」 「抱いて寝ると温かいの。 ナコルっていつもは可愛らしさの欠片も無いけど、寝るときだけは役に立つよね」 「わぁい! ナコちゃんと一緒に寝る!」 「まぁ、そう言う感じで…… 解散かな?」  それぞれが部屋に戻って、眠る前のひと時を過ごす。  僕はアイリスの長い髪に櫛を通しながら、ルミはその様子をベッドの上から眺めながら。 「ママの髪って本当に綺麗で素敵……!」 「そう? お兄ちゃんがお手入れを手伝ってくれてるお陰でもあるんだけど」 「パパ、私の髪の毛もお手入れしてくれる?」 「良いよ、さぁ次はルミの番だ」    テーブルの椅子からアイリスが退くと、ルミがちょこんと座ってくるのだった。  
/781ページ

最初のコメントを投稿しよう!