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「そうだ。どうやらその時に気に入られたらしい。声が戻ったのかはわからないが、花言葉で気持ちを表すなんてロマンチックだろ?」
「なるほど。それで私は貴方にふさわしい、か。考えはマセてるけど確かに今のお前にはふさわしいな。良かったなモテて」
からかうようにニヤつく獣人に、少年は勘弁してくれという顔を浮かべる。何個目かわからないドライフラワーを壁に飾ると、獣人に向き直った。
「この家が花まみれになる前に、こちらも返事をしなければな。こちらも花言葉で返事をしよう」
「何の花を贈るんだ?」
少年は誇らしげに、用意していたその花を獣人に見せた。
─ ─ ─ ────
「おい、直接花屋の娘の所に行って渡してきたんだよな?」
「そうだが」
数日後の午前。不機嫌そうに獣人が二つの花束を持ってきた。
「これ、直接二つ渡されたぞ。しかも貴方邪魔って言われた。呪いは解けたみたいだな」
「それは喜ばしいが……ふふっ。君は酷く嫌われたものだな」
花束を見るなり、少年は吹き出したように笑った。
「あ?どういう意味だ?」
怪訝な表情で彼が聞けば、少年は笑いを堪えながら喋り出した。
「その花束、一つは君宛てだ。ロベリア、黄色のカーネーション、黄色のバラ。花言葉は……悪意、軽蔑、嫉妬だ」
「はぁ!?お前が振ったのに何で俺が嫌われるんだよ!」
「彼女に贈った花は白いバラの蕾だったから、君のせいだと思ったんだろう」
獣人はむすっとして、自分宛ての花束を睨んだ。
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