22人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は球体状の身体の体温を上昇させ、固い岩盤を溶かし、身体の一部を地中に潜らせることによって、災難をやり過ごした。
爆発による嵐が鎮まると、緩慢な動きで作業を開始した。
球体を覆う無数の嚢胞が肥大し、次から次へと油脂泡の膜を出現させると、散乱した矮星の破片を包み込んでいく。
破片にはまだ膨大な熱量と破壊力が残っていたが、体内の万力で強引に押し潰し、吸収して、糧とするのだ。
球状胴体は青白く発光し、沸騰するような泡を次から次へと放った。
次の仕事は、壁蝨族たちの死体処理だった。
バラバラに吹き飛んだ胴体や羽、千切れて潰れた頭部が散乱していた。
彼は泡を宙へ飛ばすと、その被膜で壁蝨族の残骸を溶かした。溶かすと、骨と黄色く光る石と人間の記憶物質だけが地面に転がった。
彼の報酬は人間の記憶物質。ぶよぶよした粘体質を油膜で固めて、体内に取り込むのだ。
骨と黄色く光る石は、飛龍に渡すきまりになっていた。
最初のコメントを投稿しよう!