冬 ~私はあなたに絡みつく~

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冬 ~私はあなたに絡みつく~

 三学期末のテストが終わった翌日、ふたりきりの部屋。  朝顔の(つる)でクリスマスリースを編んでいるときに、私は彼女に想いを告げた。 「ごめんなさい」  彼女は私を見ないで、蔓を触っていた。 「そんなふうに思えない……私はたぶん、誰に対しても」  真顔だった。 「けど璃々子となら、キスくらいしてもいいよ」 「いらない」  私は蔓に残っていた種を、全部むしった。もういらない。 *すべての朝顔の花言葉……私はあなたに絡みつく
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