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狼なんかこわくない
ドンドン!
強く木の扉が叩く音が部屋中に響く。
地鳴りの様な音はその部屋で寝ていた男は飛び起こさせた。
その音で突然起こされた事で不機嫌な男は癖っ毛の黒髪を掻きながらゆっくりと体を起こし、ドアの前に立つ。
「はーい、なんですかっ!」
男は言葉を失った。
なぜなら開けた途端に、銃を突きつけられたからである。銃の筒は長く額にもう銃口が触れていた。
今火蓋を切られたなら、確実に死ねる。
怠そうな顔から男の顔は身の危険に晒された小動物のような緊張した顔付きに変わる。
「ちょっと待って!赤ずきんさんどうしたの!」
「狼!どうもこうもねぇ!また、畑を荒らしただろう!」
銃口を突きつけていたのは何を言おう赤い頭巾を着た赤ずきんであった。
赤ずきんは苛立ちを隠すことなく、怒りで銃口がゆらゆらと揺れる。
そして狼と呼ばれた男は情けない顔で、ぶつぶつと小さな声で言い訳をし始めた。
「だって、最近赤ずきんとあの人と妙に仲が良いし、ベタべタ触ってさ。こうなんかそれにムカついてついやってしまったというか。
最初から荒らすなんて思ってなかったし。でも今でもあの人喋るとモヤモヤするし。」
「しっしっうるせぇ!文句があるなら俺に直接言え」
長い話をただジッと聞いていた赤ずきんの忍耐の糸はついに切れ、銃をカチリと引き金を引く。
バンッ!
破裂音は響く、外のどこかで鳥の群れが飛び去る羽の音が聞こえた。
撃たれた狼は長い足を滑らせ尻餅をつき。
「しっしぬかと思った。」
「ちっ」
丁度銃弾は狼の横を通り過ぎて、壁に飾ってあった写真が丸い穴を開ける。
舌打ちを一つすると赤ずきんは銃をしまい部屋の中へと入り、落ちた薬莢を拾う。
「今のはワザと避けてやっただけだ、次に言い訳してみろ殺すぞ。」
どっちが狼なのか分からないほどの殺気を尖らせ黒いオーラ全開で狼を睨みつけた。
「はい、荒らしてすいません。」
狼は素直な謝った。

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