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-その頃の僕は、いつも昼休みになると食堂で買ったパンを中庭で食べた後、図書室に行っていた。
図書室は誰も来ないし、静かで落ち着く。
眞司は相変わらず人気者で、仲間達に囲まれていた。
僕は同じクラスの中、眞司を遠くから眺める事で満足していたが、時々虚しくなる。
どんなに眞司を想ったところで、あの輪の中に僕が入る事は絶対ないから。
皆に囲まれている眞司を見たくなくて、僕は逃げるように教室を出て行く。
そして、誰も居ない静かな図書室で誰にも邪魔されずに好きな本を読み、空想を楽しむ。
頭の中で物語を想像したり、空想に耽るのは自由だから。
…その日も僕は誰も居ない中庭で1人、昼食を食べ終えると図書室に行って本を読み、空想に浸っていた。
そんな時。
前触れもなく、いきなり図書室の扉が開いた。
「ほら、ここなら誰もいない」
丁度その時、僕は読み終わった本を本棚へ返す為、図書室の扉からは死角になっている本棚の陰に居た。
人の声が聞こえた為、慌ててその場所から出て行こうとした僕は、次に聞こえてきた声に足を止めてしまう。
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