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急に何も言わなくなった会長に不安になる僕。 そして…衣擦れの音……ベルトを外す音…。 本棚の陰から出て行くタイミングを完全に逃してしまった僕は、急展開の出来事に驚き、息を殺して動く事もできずにその場に固まってしまった。 …まさか…本当にこの場所で始めるなんて…僕の頭の中はパニック状態。 …だって…図書室には誰も居ないと思っているみたいだけど…僕がいるし…ここ…学校の中だし…。 それに…眞司が生徒会長を…。 (…想像できない…) だって…生徒会長っていえば朝、全校集会の時に遠くからチラッとしか見た事がないけど、いつもビシッと制服のブレザーを1分の隙もなく着て、背が高くて、凜とした(たたず)まいと真っ直ぐに伸びた背中が遠くから見ても綺麗で…。 誰かが生徒会長には親衛隊がいるって言ってるのを聞いた事があるけど…僕が聞いた事がある位だから本当の事なんだろう。 そんな会長を眞司が…? おまけに眞司が来る者拒まずだなんて…それも、男も大丈夫だなんて…知らなかった…。 (…まぁ…それを知ったからって眞司が僕を相手にする訳ないけどさ…って、いやいや…そんな事よりどうしよう…僕がこんな所に隠れているってバレたら大変な事に…いや、いや、別に隠れていたわけじゃないから…2人は僕の後から来たんだし…) 僕が冷や汗をかいて固まっている間にも、くぐもった声や肌と肌がぶつかり合う音などが聞こえて…少し好奇心が疼いた僕は…いけないと思いつつ…本棚の陰から2人を覗いた。 -2人は図書室の床で重なり合っていた。 いや、重なり合っていたっていうか………眞司が会長を組み敷いていた。
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