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-あの日以降、あの女性は優紀を気に入り毎日、指名してくるようになった。 最初の日は初めて反抗した優紀も、2回目からは大人しく指示に従うようになった。 金払いもいいし俺がいなくなった後、この女性に優紀のスポンサーになってもらうのもいいかもしれない………。 と思ったり。 いや、最初の計画通りにしないと……。 と思ったり。 俺とした事が。 今になって迷うなんて、俺らしくない。 でも、これだけは分かっている。 優紀と一緒にいる事は、できない。 俺には雅樹が。 雅樹を裏切る事はできない。 『…眞司……眞司……っ!!』 ………いつまでも俺に助けを求める優紀。 一体いつになれば優紀は俺に助けを求めても無駄だと気付くのだろう。 (………イライラする…) いつまでも俺に助けを求めてくる優紀に。 俺に盲目的に従う優紀に。 俺に助けを求める声に。 俺に助けを求める瞳に。 優紀の全てに。 イライラする。 ………優紀と雅樹は全然、違う。 分かっている事じゃないか…優紀と雅樹じゃ…選ぶまでもない。 考えるまでもない。 どちらが大切かなんて……………。 このままじゃ、ヤバい。 俺の気持ちが。 その日、テーブルの上に今まで女性にもらって貯めていた現金と、“しばらく帰らない”と書いた手紙を入れた封筒を置いてその部屋を出て行った。 手紙に書いた“しばらく”という文字に俺の迷いが現れていた事を、この時の俺自身も気付かず。 -俺は。 優紀から逃げた。
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