雪の雫とクローバー

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雪の雫とクローバー

 写真には長さの異なるオフホワイトの花弁(はなびら)が、頭を(もた)げたように咲いている。表示された名前は「スノードロップ」。 写真の裏のネットには球根が入っており、山川(やまかわ)雪葉(ゆきは)はそれを手に取って、説明欄に目を通した。植え付け時期は10月。開花時期は2月〜3月。花言葉は希望。雪葉は薄紅色の唇の口角を上げた。球根を購入し、ホームセンターの店先で待つ恋人、浅田晃平(あさだこうへい)に駆け寄る。 「何買った?」 「花の球根」 「なんで、また」 「いいでしょ。きれいな花を育てたいなって思ってたの。花が咲く頃には私たちの結婚式もあるし、ちょうどいいかなって」 「そうか。ちゃんと育てろよ」 雪葉はその言葉に身を固くした。小学校教諭の晃平は校庭の花壇の管理を怠り、植物を枯らす常習犯であった。雪葉は自分の小学時代の事を思い出し、薄目で晃平を睨んだ。 「それにしても、俺達の結婚の話はトントン拍子に進んだな」 「そうだね」 「来週の日曜はドレスとタキシードの仮合わせか。気に入るの、あるといいな」 雪葉は頷き、2人は昨日、引っ越したばかりの自宅アパートへと足を向けた。
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