第1場 真夏の戦

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 ここのフィールドはトンネルがあって、裏を取ってくる人が稀にいるのだ。警戒するに越したことはない。  早速、後ろを向いて土嚢に隠れつつ腹ばいになる。  いつまでたっただろうか。後に敵がいる可能性の方が高く、ヒットコールも何度も聞こえ、もしかしたら思い違いをしているのではないかと不安になる。  暑い夏の日差しにじわじわと汗が吹き出る。  もういっそ諦めて前に出ようかというときにトンネル側から足音が聞こえる。  一気に感覚が鋭敏になる。  少しして銃口が二つ見えた。  腕のチーム識別用のマジックテープの色は……赤。  敵だ。  そこまで確認して、絞っていたトリガーを一気に引く。  一発目、相手の腿に。  二発目、相手の背中に。  二人はびっくりして振り向いて俺の存在を確認する。 「ヒットー--! ナイスショット!」  相手に手を振りつつ、読みが当たったことに安堵する。  さて、前に出ようかとバイポットを地面から離したとき。フィールドの反対側からブザーが聞こえた。  自分たちの勝だ。  喜びよりも、長時間日に当たり過ぎてクラクラする。  結局この日のゲームは休んでプレイしてを繰り返し、あまり多くやったとは言い難い結果になってしまった。
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