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「さっき、言われたんだ。
このセリフをお前に言うといいと」
と言う各務の手許を覗き込んだ未結は呟く。
「……波美さんですね」
それを律儀に覚えてて書き取ったのか?
「言うんですか? それ」
と想像もつかずに未結は身構えて訊く。
「言って欲しいんだろう?
今、言おう」
いや、それ、特に私好みのセリフではないので、別にいいんですが。
でも、課長がその手のセリフを言うのを聞いてみたい!
と未結は手に汗握る。
言うぞ、いいのかっ?
言ってくださいっ、どうぞっ、
と組み合う前のレスリング選手のような不思議な緊張感で構え合う。
……沈黙が続いた。
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