1640人が本棚に入れています
本棚に追加
「いや、課長が配布物、配って歩くとか聞いたことないんですけど」
と未結は苦笑いしたが、各務は、
「だって、お前が毎日、社内をウロウロしてたら。
毎日、お前をいいなと思う奴が現れるかもしれないじゃないか」
と言ってくる。
「あの、私、そんなにモテませんから、課長……」
ご心配嬉しいですが、と未結は言ったが、
「わからないじゃないか。
今まで恋愛になんか興味なかった俺が、こんなにお前を好きになったんだ。
みんなもお前のことをいいと思うに決まってるっ!」
と各務は言い出す。
……暴論だ、と思いながらも、未結は赤くなって俯いた。
でもまあ、こんな風に熱く語ってくれるのって、結婚前の今だけかもしれないから、ありがたく聞いておこう。
そう思ったそのとき、各務がポケットからゴソゴソとなにかを取り出してきた。
またメモだ。
さっき、昼休み屋上に来いというメモを受け取ったばかりの未結は、
今度は何処に行けとっ?
と思い、怯える。
最初のコメントを投稿しよう!