結婚、一週間前

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「いや、課長が配布物、配って歩くとか聞いたことないんですけど」 と未結は苦笑いしたが、各務は、 「だって、お前が毎日、社内をウロウロしてたら。  毎日、お前をいいなと思う奴が現れるかもしれないじゃないか」 と言ってくる。 「あの、私、そんなにモテませんから、課長……」  ご心配嬉しいですが、と未結は言ったが、 「わからないじゃないか。  今まで恋愛になんか興味なかった俺が、こんなにお前を好きになったんだ。  みんなもお前のことをいいと思うに決まってるっ!」 と各務は言い出す。  ……暴論だ、と思いながらも、未結は赤くなって俯いた。  でもまあ、こんな風に熱く語ってくれるのって、結婚前の今だけかもしれないから、ありがたく聞いておこう。  そう思ったそのとき、各務がポケットからゴソゴソとなにかを取り出してきた。  またメモだ。  さっき、昼休み屋上に来いというメモを受け取ったばかりの未結は、  今度は何処に行けとっ? と思い、怯える。
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