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テーブルには焼きたてのパンと温かいシチュー、サラダ、そして今朝収穫したメロンが置かれている。すっかりと陽が落ち、窓の外には濃紺の空が広がっている。ローイとダンはテーブルを囲み、両手を組んで瞳を閉じた。
「神様、こうして今日もつつがなく一日を終えたこと、そしてこうして食事という名の恵みを頂けることに感謝いたします。アーメン」
ローイがそう祈りをささげてスプーンを手に取ったとき、玄関の方からカランカランという鈴の音が聞こえた。
「こんな夜にお客様でしょうか?」
ローイがダンに尋ねると、
「どうやら迷える子ひつじが来たようですね」
とダンはつぶやき、スッと立ち上がった。ローイがダンの後ろをひっついていくと、玄関先にあったのは中年の男の姿。ヨレヨレの服を身に纏ったその男の顔はやつれており、目の光は全くない。まるで死んだ魚のようだ。
「どうされました?」
ダンがにこやかに声をかけるが、男は何かを言いたそう表情をしているのだが、その口は重く閉ざされてなかなか開きそうにない。
「まぁ今ちょうど温かいシチューと今日獲れたメロンがありますから、こっちで話しましょう」
男はダンに促されるままに食堂へとついていった。
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