第12章 これからもずっと……

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 家の外へ一歩出ると、春の甘い匂いがした。  あたたかい風がふわっと吹いて、肩の下まで伸びたわたしの髪を優しく揺らす。  狭い道を渡った先は、桜の花が咲く公園だ。  その桜の木の下で、樹くんが待っていてくれた。 「おはよ」  樹くんがわたしに向かって言う。 「おはよう」  わたしは樹くんに駆け寄って、笑いかける。  足の怪我がすっかりよくなった樹くんは、この春、わたしと同じ高校三年生になり、元気に学校へ通っている。 「本当にここ、桜が綺麗なんだなぁ」  樹くんが顔を上げてそう言った。  わたしたちの頭の上では、桜の花が堂々と咲き誇っている。 「うん。いいでしょう? わたしの部屋からもよく見えるんだよ」 「部屋でお花見ができるって、よく自慢してたもんな」 「自慢じゃないってば」  わたしが怒った顔をすると、樹くんがくくっと笑ってから、わたしに右手を差し出した。
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