第1章 桜色の約束

3/12
445人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
「いってきまぁす」 「いってらっしゃい。気をつけてね」  玄関の外まで出てきたお母さんに見送られ、自転車を押して門を出る。  陽菜はまだ、ドライヤーで寝癖を直していた。どれだけ時間をかけても、たいして変わらないのに。最近の陽菜は、見た目をすごく気にしている。  わたしは中学からずっと同じボブカットの髪と、制服のチェックのスカートを揺らし自転車にまたがる。そして春の日差しの中へ、ペダルを踏み込んだ。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!