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二人とも大きく息を吐いた。
吐き出した息を今度は小刻みに吸った。
「ニッコウキスゲ?」
カナちゃんが呟いた。
知らない花の名だ。
どんな花なんだろう?
ニッコウってあの地名の日光?
そう思ったのはほんの束の間で、私たちはお互いの顔を見つめて微笑んだ。
「スゴイ!」
カナちゃんの頬が赤らんでいる。
「うん。スゴイね」
私も喜びで頬が熱くなるのを感じた。
十日ほど前に遡る。
二人が密かに好意を寄せるクラスの男子……久坂君……に『秘密の質問』をしようと、カナちゃんが言い出した。
元々、カナちゃんと仲が良かったわけではない。
何かのきっかけで、お互いがクラス委員の久坂君が『気になる男子』と分かり、意気投合した。
見かけはとてもおとなしそうなカナちゃんがある提案をした。
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