1.提案 その一・・・由梨の質問

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二人とも大きく息を吐いた。 吐き出した息を今度は小刻みに吸った。 「ニッコウキスゲ?」 カナちゃんが(つぶや)いた。 知らない花の名だ。 どんな花なんだろう? ニッコウってあの地名の日光? そう思ったのはほんの束の間で、私たちはお互いの顔を見つめて微笑んだ。 「スゴイ!」 カナちゃんの頬が赤らんでいる。 「うん。スゴイね」  私も喜びで頬が熱くなるのを感じた。                                     十日ほど前に(さかのぼ)る。 二人が密かに好意を寄せるクラスの男子……久坂(くさか)君……に『秘密の質問』をしようと、カナちゃんが言い出した。 元々、カナちゃんと仲が良かったわけではない。 何かのきっかけで、お互いがクラス委員の久坂君が『気になる男子』と分かり、意気投合した。 見かけはとてもおとなしそうなカナちゃんがある提案をした。
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