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僕は、月曜の薄暗い昼の雨の中で、群衆の中に佇む。今日もつまらない一日だ。生きる気力がない。憂鬱な月曜日を雨音が包み込んでいた。
「ごきげんよう」
不気味な微笑みを浮かべた青白い顔の少女が、顔を近くに向けてきたと同時に、腹にナイフを突き刺してきた。僕はその一部始終を蜘蛛の巣に囚われた蝶のように身動きすらせず、立ち尽くしていた。
「なぜ俺を殺した?」
「あなたの体を解体して売るためよ。金のため」
「金がないのか?」
「まあね。本当は殺さなくてもよかったんだけど」
「なら…なぜ、俺なんだ!なぜ、俺を殺した⁉︎」
「あなたが死にたがっていたからよ」
「殺してくれた…のか」
「あなたの命は金になった方が価値があるのではないかしら?人生を楽しむ気概が感じられないわよ?」
僕は、不気味な微笑みを浮かべると、激しい雨の中に血の池を作って倒れた。行き交う群集は、誰一人として、僕に振り向きすらしない。僕は金になるらしい。それでよかった。少女は、天使のような微笑みを浮かべる…降り注ぐ雨と雑踏の中で、僕の意識はかき消されていった…僕は、この少女にバラバラに切り刻まれるのだろう…
初めてすれ違った瞬間から、こんな子に殺されてみたいと思っていた。
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