キミの花の言の葉

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「次は~△△駅、△△駅~」 アナウンスが流れる。会社の最寄り駅だ。 俺が話をし終わると、鵜飼は羨ましそうに俺を見た。 「へー、ホントに桜の花みたいな子だな。顔も可愛いんだろ?1回見てみたいよ!なんとかして連絡先見つけろよ!」 「はぁー?無理無理。確かに、俺だってもう1回くらい会いたいけどさ…」 鞄を片手に俺達は電車を降り、そんな話をしながら会社へと歩いた。 会社に到着して、挨拶や用意を済ませると俺は席に腰かけた。鵜飼とは隣のデスクである。 朝礼が始まる。ここは小さな会社で、いつも社長が朝礼に長い長い挨拶をする。学生時代の長い校長の話と、なんら変わっていない。 「えーと…今日から、本社に新たな仲間が加わる。色々と事情があって、こんな4月の上旬からという微妙な時期になってしまったが、まあ暖かく出迎えてくれ」 「へー…不思議だな。誰だろうな?」 鵜飼がコソコソ話しかけてくる。社長が紹介したのは…。 「佐倉 (ゆう)()と申します!主に事務の仕事をやらせて頂きます。このような時期からのスタートとなりましたが、何卒、宜しくお願い致します!」 会社に勤める社会人にしては明るく、爽やかに、凛として涼んだ声で。…その女性は、ニコニコと挨拶した。 「え……えっ?佐倉…?」 流石にツインテールではないが、同じ髪色や目の色、あの頃から多少は変わったがそれでも似ている声、あまり変わっていない背丈。そして、優しくて美しい、暖かな雰囲気。 「……おいおい、花瀬…まさか…」 鵜飼の声に動揺の色が混じる。 「…佐倉だ。あの時の」 佐倉はニコニコしながら皆の顔を見回し、俺のところで視線が止まった。つぶらな瞳が見開かれる。 「はっ……花瀬、君?」 社長が怪訝な顔をする。 「どうしたんだい?もう、席についてもらって構わないよ」 「あ…その、いえ…」 佐倉は焦りつつも、ぺこりと勢いよくお辞儀した。 「…みっ、皆さん、宜しくお願いしますっ!は、花瀬君も…久しぶり!宜しくお願いします!!」 ぽかんとする皆をよそに、そしてまたもや勢いよく、佐倉は顔を上げた。 髪は一切乱れておらず、薄化粧なのに可憐で綺麗で、あの日の桜を彷彿とさせる暖かい春のようなオーラ。 佐倉はにっこり、満面の笑みを浮かべた。 ……本当に、優美な女性だ。 まさか、再会できるとは! 「宜しく。佐倉」 今日の仕事が終わったら、一緒に街にでも出かけようか。そして、積もる話でもしようか。再会を喜ぼうか。 これから始まるであろう楽しい時間に、俺は思わず微笑んだ。 The End
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