桜舞う日はなにを想う

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「もし、そうだとしたら、どうするんだ」 声が震えそうだ。 「何も」 「何も、か」 「ああ」 アイツはいつもの調子で淡々と答えた。 心臓が潰れそうだ。 「そうか、じゃあな」 それ以上、何も言えないじゃないか。 「ああ、じゃあな」 俺はその言葉を聞いて、目を合わせず片手を軽く上げてからその場を去った。 数歩、歩いて我慢できず、そっと後ろを振り返ってみたが、いつもの歩調のアイツの遠ざかる背中を見るしかなかった。
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