プロローグ/麻衣の回想

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プロローグ/麻衣の回想

その1 麻衣 ずいぶん長いことこうしてる 部屋の鏡を前に、自分の顔見続けて… 相馬会長も若い時、こうやって自分の顔見つめてたんだろう 私を初めて見たとき、懐かしい気がしたって言ってたんだよね 鏡に映ってた自分の眼と一緒だって… 若いころの、狂気に満ちたギラギラした眼光、おんなじ眼だったって 確かに”アブナイ眼”、してるわ、私(笑) ... その会長とは出会ってから、わずか1年数か月してお別れだった 持病でこの夏、死んじゃった 不思議なんだが、悲しいとか寂しいとかは全くないんだよな 葬式んときも涙、全然でなかった でも… 相馬豹一…、この人を私、たぶん愛してたと思う 年は親以上に離れてて、肉体関係とかはなくても、すごく繋がってた感じしてた 妙な感覚なんだけど、ホントそうなんだ この一年ちょっとは実際、これ以上ないくらいの疾走感だった とにかくそれは、相馬豹一にはじめて会った”あの日”、始った… ... それは去年春… そう、あの時、すべてが始まったんだ… ... うちら、大河原高の1年4人は、チーム作る資金集めに奔走してた 当然、勉強や部活そっちのけで しかも、かなりヤバイ”活動”続けてたもんで、既に相和会に目をつけられてたらしい その日、”順番”だった久美が”コト”を済ませて出てきたとこで、奴らに捕まった 道路脇で見張ってた私らは、とりあえず逃げたが待ち伏せされてて… あっさり囲まれてね そのまま車で廃屋状態になってる工場に連れられたんだ… ... 目の前には6人いた いずれも相和会の連中らしいチンピラと幹部っぽい大男だった 向こうからすれば、縄張りを汚したけしからんガキどもということになる で…、女子高生4人が”こんなトコ”に連れ込まれたんだ その後どういう展開になるかは、みんなわかりきってる 久美なんかもう、泣き叫んで詫びいれてるし まあ、私らは猛獣の檻に放り込まれたウサギだった
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