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その14
麻衣
私はまだ鏡を見続けていた…
相馬会長とは、その後じっくり話をしたのは、一度か二度だ
それでも、言葉一言を往復させるだけで、二人はその都度、深く”理解”していった
最初にあの部屋で正座させられてて、見つめ合ってたあの感触、これは今でも鮮明だ
目、見合ってりゃ何か通じちゃうってことなんだろう
だから、あの人、死んじゃったけど、別に大丈夫
私、ちょっと普通と違うのはわかってるし、はっきりいって変だしな
...
それで、もう一人”いる”訳だ
それは、おけい
だが、お前に対しては愛してるとかじゃなくて、惚れてるって感じだ
なにしろお前とは、火の玉川原の日、もういっちゃってたよ
そのあと、あの夜のことも自然だったわな
私は年とか性別、そんなもん関係ないし、ただ感情の欲するままだ
で、要はあのアキラとかってのに、嫉妬感じたということだ、正直なところ
この前、アイツが部屋に来た時、お前、明らかに恋してる目だったしな
私も一応女だから、それ、わかるんだよ
という訳で、お前が好きになったヤローを試させてもらおうということになった
どんなもんか、じっくりと
もっとも、最初はただのヤサ男と思ってたさ
ところが、マッドハウスでいろいろ裏取ってみると、意外にもだったよ
ヤツ、結構地べた這いずり回って、それで、今あるみたいだな
てっきり、ギター持ってチャラチャラしてるだけの薄っぺらと決めつけてた
お前がそんなヤワに骨抜きされたと想像したら、殺してやりたいって思ってな…
では、私が惚れたお前を”その気”にさせたアキラ、味わせてもらうよ、予定通り…
作者注釈:本エピソードの回想時間軸は、第2部基軸ストーリー序盤になります。以降、本編第1部基軸ストーリーの時間軸は、これより約1年さかのぼる出来事を中心に展開します。
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