序章/ある見逃せない前日譚ーヒールズ・リンチ事件の真相ー

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ヒールズリンチ事件の真相/その3 剣崎 まあ以前からずっと、諸星のことは性懲りもなくこっちにちょっかいを出して来ても、相馬さん、いつも生かさず殺さずを通してきたから… だが、我々には二通りの見方が成立していたんだ 相馬会長にとっては、ヤツなど消すまでもない小物とバカにしてたからだという意見と、ヤツが相和会への挑発行為を継続させれば、返ってそれは後ろに控える関東の侵攻行為を小出しに留める効用となり、相和会にとってはむしろ好都合だという点を会長が見切ってるからだという、この二側面からの見解だった はは…、いわゆる相馬豹一のお家芸、ダブルミーニングなんだが、最近になって俺は、会長には諸星を生かしておくもう一つの狙いがあるんじゃないかと感じるようになってきた それは、ヤツの従来から描くガキ市場の確立というビジョン… この構想に相馬さんは、少なくとも興味を抱いていたのではないかと… ... もっとも、この諸星ビジョンは、それこそちょっと前までは在○の考えつきそうな軽薄でしょぼいビジネスだと、関東内部から嘲笑を浴びていたのだが、今じゃ、やはり世間の景気が活況ということで、関西も含め、ガキを利用して二次組織化するプランは陽の目を見てる状況もある 会長だって、先見の明はハンパない訳だし、その目の付け所は以前から頭に入っていたとしても不思議ではないさ いや、それどころか、あの人はもっと先に目をやって他の人間が思いもつかない仰天の発想を温めている可能性だってある そうならばだ… 今回、倉橋に念入りにというミッションは、それなりの深意を孕んでるな… よし、いっそのこと、この俺が手の込んだ”絵”を描いてやる ハデにぶちかまして、星流会のキモを抜かしてみるさ そのリアクションを受けて、相馬会長がどんな反応を示すか… そんなことに考え至り、俺は心の中でニヤつくようだったわ
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