序章/ある見逃せない前日譚ーヒールズ・リンチ事件の真相ー

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ヒールズリンチ事件の真相/その10 南部 門前仲通りのZ前に着くと、ちょうど1台のバイクから降りてヘルメットを取った”仲間”が、こっちに駆け寄ってきた 「おお、聖一!ちょうど俺も今到着したとこだ。一人か?」 「真ちゃんか!砂さんとかには織田が連絡して、おっかけこっちへ来るよ。他はもう中かな?」 「さあ…。どうする、皆が来るまで待つか?」 「いや、俺たちだけでも先に入って”話”は進めよう。砂さんが来る前だろうが、先方の出方次第でこの前申し合わせした通り行こうや」 「よし、わかった。返って二人の方が手っ取り早いかもな。先に火を点けちゃえば、砂さんたちもこっちのペースで持ってけるしな」 「ああ、だが、あくまで連中の言い分を聞いて、事実確認もした上でだ。そんで四の五のヌカしてくれば、体でわかってもらうしかない」 「ふふ…、承知だ」 積田真二郎は墨東会のメンバーで最も気の合う男だ コイツにはオレの考えに同調してもらい、今日の段取りはすでに伝えてある さあ、行くぜ! ... 「いらっしゃい…、純血さん。今日は貸し切りだ。従って、お互い遠慮なしでやれるぜ」 店内をひと通り見回すと、仲間は他にいなかった そんで、”元仲間”だった、今日向き合う相手は5人だ さらに店内は客も店の人間らしき人、更にこいつらとつるんでるはずの愚連隊系らしきメンツもいないようだが… まあ、肝心の御仁が目の前なんだ よし、はじめよう… ... 「ああ、まずは自己紹介だな。二人とも墨東会だ。オレは南部聖一ってモンだよ」 「オレは積田真二郎だ」 積田とオレは目で合図しあうと、互いに数歩、少し離れた 二人は暗黙で”配備”を敷いた訳だ 「ああ、二人とも顔は知ってる。だが腹の中はさっぱりだ。今日は”それ”、しっかり晒してもらうぜ」 背はさほど高くないが、いかにも俊敏そうで鼻っ柱の強いこの男がリーダーのようだ ... 「おい、こっちは自己紹介してんだ。演説の前に名前ぐらい名のれよ。礼儀だぜ、それがさ」 「ああ、すまんな。何分、在○ってことで、勘弁しろ。…オレは黒原さんに命を捧げたっていいと思っていた人間でさ、高本健一って名だよ!」 何と、いきなりここまでの口上かよ いい悪いは別にして、歯切れよくて助かるわ(苦笑)
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