序章/ある見逃せない前日譚ーヒールズ・リンチ事件の真相ー

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ヒールズリンチ事件の真相/その15 南部 「オラー、着いたぞ!さっさと中へ入るんだ!」 ヒールズ… オレの目に映ったその4文字 それは、寂れたスナック風の店の看板に刻まれていた どう考えてもマトモな店じゃない… 咄嗟に抱いたオレの思いは、おそらくここに”連行”された全員、同じだったろう オレ達はスーツ姿の屈強な男達に、その薄暗い店の中へと押し込められるように入っていった ... そして店内をさっと見回すと、すぐに店の奥で体を縛られた二人の男が視界に入った その瞬間、”すべて”を理解したよ しまった! ワナに嵌まったぞ… オレはこれから始まる光景が条件反射的に頭に浮かんだ 数秒でその光景の意味するところが理解に達すると同時に、背筋には凍るような寒さが襲っていた が、その寒さは序章だった オレの目線は男達ではなく、すぐ脇のテーブルの下を捉えていたんだ そこに他佇んでいたのはチェーンソーだった… ... 「やんちゃな坊やたち、ようこそだ。まあ、立ったままじゃなんだから座りたまえ」 第一声は、縛られた二人を見下ろす位置のボックス席にかけていた、長身らしきサングラスの男だった 人目でやくざの幹部だってわかったよ いよいよ、この先の展開はリアルなものになる… どんなアホでもこの状況、そう解釈できるって 俺の隣の砂垣さん、もう脂汗ダラダラ垂らしてるよ ”カシャッ!” フン…、入り口付近に立ってたスーツ姿がドアに仕錠したわ いずれにしても、ここヒールズは修羅場と化す… まもなくだ
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