36人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒールズリンチ事件の真相/その15
南部
「オラー、着いたぞ!さっさと中へ入るんだ!」
ヒールズ…
オレの目に映ったその4文字
それは、寂れたスナック風の店の看板に刻まれていた
どう考えてもマトモな店じゃない…
咄嗟に抱いたオレの思いは、おそらくここに”連行”された全員、同じだったろう
オレ達はスーツ姿の屈強な男達に、その薄暗い店の中へと押し込められるように入っていった
...
そして店内をさっと見回すと、すぐに店の奥で体を縛られた二人の男が視界に入った
その瞬間、”すべて”を理解したよ
しまった!
ワナに嵌まったぞ…
オレはこれから始まる光景が条件反射的に頭に浮かんだ
数秒でその光景の意味するところが理解に達すると同時に、背筋には凍るような寒さが襲っていた
が、その寒さは序章だった
オレの目線は男達ではなく、すぐ脇のテーブルの下を捉えていたんだ
そこに他佇んでいたのはチェーンソーだった…
...
「やんちゃな坊やたち、ようこそだ。まあ、立ったままじゃなんだから座りたまえ」
第一声は、縛られた二人を見下ろす位置のボックス席にかけていた、長身らしきサングラスの男だった
人目でやくざの幹部だってわかったよ
いよいよ、この先の展開はリアルなものになる…
どんなアホでもこの状況、そう解釈できるって
俺の隣の砂垣さん、もう脂汗ダラダラ垂らしてるよ
”カシャッ!”
フン…、入り口付近に立ってたスーツ姿がドアに仕錠したわ
いずれにしても、ここヒールズは修羅場と化す…
まもなくだ
最初のコメントを投稿しよう!