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ヒールズリンチ事件の真相/その17
南部
「…我が相和会はだ、都県境の住民とは戦後からずっと仲良くやってきてる。それには、君たちの両親も含まれてるだろう。本来から行けば、この程度の荒らしで大騒ぎはしねえよ。ただしだ、先程Zの店内で暴れた君たちには、店の損壊に見合う損害賠償を払ってもらわんと。一応、看板掲げてる以上、業界に笑われるんでな。了解してもらえるな?」
「あの…、損害賠償って、いったいいくら払えば…、いいんっすかね?」
砂垣さんが、すかさず質問したわ
「500万ってとこだ」
「わー、めちゃくちゃですよ、そんな…。8人で頭割りして分割払いだって払えないですよ。そもそも損壊って言っても、ガラスや食器とかがちょこっと割れただけだと思いますよ!」
「まあ、そんな脂汗たらしてまで熱弁すんな。500万はジョークだよ。こっちの要求は言わば、”この後”、我々が行う仕事の口止めだけだ」
「ふう‥、助かった。じゃあ、みんな、それでいいよな」
砂さんの呼びかけには、全員が無言で頷いた
とりあえず…
だが…
...
「はは、みんな誓ってくれました。ここにいない二人にもちゃんと誓わせます。絶対に口外しないと。それ、オレが誓いますから。では、これで終わりってことで、自分たちは失礼したいんですが…」
「君、何か勘違いしてるぜ。我々はカタギの言葉っての、信用しないんだ。口でベラベラは求めていない。今回は一筆もな」
これには砂垣さんが言葉に詰まって、隣のオレに肘を当ててきた
ふう…、ここでオレにバトンタッチかよ…
...
「じゃあ、オレらには何を要求されるんですか?」
オレはあえて単刀直入に尋ねた
ここにいるみんなが返ってくる答えを待ってるわずかの間、片唾を呑み込む、その妙な音がぎこちなく飛び交った
「…簡単だよ。俺たちの仕事を手伝ってもらえばいい。わずかでも”共犯者”になれば、サツにタレ込んだり人に話したりはしなしな。それから、ここにいない二人は”無視”でいい。その理由は勝手に想像しろ。では、具体的に言うぞ。”届け物”の遣いだ。小学生でもできる」
参った…
こりゃヤバイって…
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