序章/ある見逃せない前日譚ーヒールズ・リンチ事件の真相ー

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ヒールズリンチ事件の真相/その20 南部 オレは3人を代表して、たった今3人で決めた二つの返事と、その根拠を剣崎さんに告げた さあ、この人の反応はどうだ… ... 「…なかなか理にかなった決定だな。感心したわ。倉橋、どうだ、この3人の逆提案と指チョンの返答は」 「では、俺の意見を言わしてもらいましょう。前者は何も言うことはありません。もっともな判断だと思う。そこで後者だが、まあ、こいつらがそういう根拠って言うんなら、執行者としては、極力バランスを考えたいですね。いくら何でも小指を奪うのと顔面ボコるのじゃあ、釣り合いが悪すぎる」 「ほう…、するってーと、倉橋、どうするってんだ?」 「左の男にはもう少し痛い思いをしてもらって、これから指を失う男と均等に近づけたいですね」 「…」 オレたち3人はがん首揃えて唖然としてたよ ... なんて男なんだ! 表情一つ変えずこのエゲツなさは… 思わず吐き気がしてきた 「ハハハ…、さすがにやんちゃ盛りの坊やたちでも、この男には面食らってるようだな。せっかくだから紹介しよう。我が相和会では武闘派のエースでな、倉橋だよ。業界では冷酷無比の撲殺人と呼ばれてる。まあ、敵からしたら恐ろしいソルジャーだな。よし、倉橋、この3人にナマで見せてやれ!」 始まるのか… 「うぐっ、うぐぐ…!」 左の男、怯えてる… ”ボコッ、ボコッ…” 気の毒で見てられない それに何だよ、この何ともごっつい音は 顔面がぶっ壊れるって… ”勘弁してくれ” オレは心の中でそう叫んでいたよ ... 何と酷い光景なんだ… 男の歯は折れ、馬乗りになって拳を下ろし続ける撲殺人の顔には血が飛び散ってるじゃんか 「おい、倉橋、そんなとこでいいだろ。もうやめとけ」 「はあ…」 腰を上げ立ちあがった撲殺人は、オレ達を振り返った すると… ... 頬にこびりついた男の血を手で拭ってる …いや、違う! その血を指で口もとに寄せ…、舌なめずりだ! ”オエーッ…!” 後方の5人から立て続けに、そんなゲロ吐き寸前音がここまで届いたわ 「おい、トイレに連れてってやれ!」 剣崎って幹部がそう指示すると、店の入り口付近に待機していたオレ達を連行したスーツの5人が、砂垣さんらを今度はトイレに連行だ ... 「フフ…、後ろの連中に比べ、お前たち3人は肝が座ってるな。名前を聞いとくか」 3人は剣崎さんに求められ、今さらながらの自己紹介をしたが… 自分の名を名乗っただけなのに、なんでこんなに気が重いんだ… 二度とお会いなんぞしたくないって、この人達とは
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