序章/ある見逃せない前日譚ーヒールズ・リンチ事件の真相ー

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ヒールズリンチ事件の真相/その22 南部 3人による”検証”は、実にスンナリと結論が出た オレ達の見解は全く合致していたわ 要するに、今日のZの一件はすべて相和会が仕組み、その通りにコトを運んだ すべて… 連中はオレ達の内部事情もちゃんと把握していたんだ 黒原さんが他界し、都県境の各グループを括っていた重しがとれガキ集団の均衡が崩れたことも、その結果、”在○系と純血”の対立が表出したことも… 相和会は愚連隊を使ってショバに手をかけてきた星流会へ警告を発するのに、それを絡ませ利用したってことだ おそらく、ガキを遣わせた方が強いインパクトを与えるからだ 要は相和会を舐めるなよ、というメッセージなんだろう 後ろには関東直系が控えているのを承知で… これが戦後ずっと、関東・関西いずれの全国組織にも屈せず、一匹狼で極道世界を渡り歩いてきた相和会の神髄なのか…! ... 「何はともあれ、相和会は評判以上の硬骨漢揃いだったな。あの撲殺人だか撲殺男だかってごっついソルジャーなんか、ハンパなかったし。あんな凄味があってこそ、全国組織を寄せ付けないんだろうな…」 積田は変な話、あの倉橋とかっていうイカレ男をべた褒めだった 「俺は、あの剣崎って背の高い幹部、あの男の佇まいに圧倒されたよ。会った瞬間、相手を掌に乗せちまう不気味なほど奥行の深さを感じたわ。あんな連中が仕切ってるのか、相和会ってのは…」 積田と高本は、ある意味、興奮していたわ まあ、オレたちみたいな悪ガキからしたら、いい悪いは別にして惹かれるものはある、正直… でもな… ... 「確かにさすがだよ。あの場の演出なんか、事前に想定してた訳わけじゃないんだろうよ。あの撲殺男が追加制裁したのは、オレたちを意識してのアドリブだと思う」 「おい、聖一…。じゃあ、剣崎は倉橋のアレ、予めの申し合せじゃなかったって言うのか?」 「ああ、積田、俺にはそう思えるよ」 「仮にそうだとしたら、言い出した撲殺、それを笑って了承した剣崎、さらにそれを受けてあの血舐めまでに至った実行をためらわなかった撲殺…、全部ひっくるめてイカレれてるぜ。本格的に…」 積田のこの言は、まさにすべてを言い当てていたな オレと高本は顔を見合わせた 3人は改めて今日の衝撃に打ちひしがれて、しばし沈黙した
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