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ヒールズリンチ事件の真相/その23
南部
その後、3人は”これから”を話し合った
「今日、相和会というやくざに担がれてではあったが、対立していた我々の両派がぶつかり合えた。結果的に、これは意義があったと思う。高本、はっきり言わせてもらうよ。お互い、いろいろとしこりは抱えてるが、一緒にやってかないか?」
オレはストレートに提案した
高本はいい
たしかに在○という意識は、他の連中以上のものがある
オレ達が自分たちへの排除願望を抱いてるという疑念は、強く持ってるようだし
だが、コイツはそれを正面からぶつけてきてる
それは、自分の正直な気持ちと向きあう勇気を持ち得ているということだ
...
「…」
高本はすぐに返事はしなかった
しばらくの間、オレと隣の積田にその視線を交互させ、何かを見定めているかのようだったな
「積田さんていったな…、アンタもその思いでいいのか?」
「ああ、この聖一とはまだ確認し合っていないが、その理由は一緒だと思うしな」
「よかったら聞かせてくれないか?」
積田は顔をオレの方に向け、目で合図してきたよ
オレは小さく頷いてそれを返した
「…よし、なら俺からな。お前は一本スジが通ってる。ブツを届ける遣いは自ら率先して、ヤクザにもちゃんと自分たちの決めた根拠を主張すると宣言した。あの修羅場でも、目の前のことからは逃げなかった。たいしたもんだ。オレは正直なところ、あの場面では、お前の勇気で背中を押されたよ。お前みたいなヤツとは組める。そう思ったわ」
ふふ‥、積田め、オレのセリフ全部奪いやがった(苦笑)
...
「わかった。俺もアンタ達とだったら、やっていきたいよ。黒原さんのようには到底無理だしな…。で、具体的にはどう行動していくつもりだ?」
高本は端的に切りだしたわ
「…まず、今の都県境を一定の方向へと持っていく核となる集団が必要だ。オレは墨東会がそれを担うべきだと思っている。そこに、骨のある在○のメンバーも加えて、他のグループを引っ張っていける存在にしたい。高本、お前には在○の中から志のあるモンを連れて墨東に加わって欲しい」
オレもズバリ答えた
「墨東会か…」
高本は腕組みをして、再度オレたち二人に目を行き来させ、何やら頭の中で考えを巡らせているようだったな
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