***

1/11
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

***

 念入りに手を洗い、第一に取り掛かかったのは解凍だ。我が家の場合、冷凍保存ばかりゆえ特に必要となってくる。  まず、選ばれた精鋭たちを冷凍庫から取り出した。  鳥むね肉に、冷凍豆腐と生うどん。それから、かぼちゃも忘れてはならない。すりおろしたニンニクと生姜も出しておこう。  その中で、先陣を切るべきだと判断したのは鳥肉だ。揚げる前の一手間を施さなければならないこの子が、レンジ一番乗りに相応しいだろう。  皿にキッチンペーパーをスタンバイする。これは解凍中に出てきたドリップを吸収する役割を持つ。纏っていたラップを外したら肉をドーンと置き、庫内に放り込んだら後はお任せだ。    その間に、三番手であるかぼちゃを耐熱ボウルにインしておく。  なぜ、二番手ではないかと言うと、間に豆腐が入るからだ。パックごと凍らせてある為、少し自然解凍しないと外れないのである。かなり強情なため、無理強いはお勧めしない。手が死ぬことになる。    そして待機児童――ならぬ待機食材として、最後にじゃがいもを細切りする。  この子に至っては、解凍ではなくレンジ調理の為だ。早く火が通るこの技術は、忙しい主婦には救世主のようなものだろう。    さてさて、待っている間に次の行程に移るとするか。  乾物カゴより登場されし、春雨くんと干し椎茸くんだ。  長持ちする乾物は、買っておいて損のない食材と言えよう。こんな凄いものを生み出した偉人(だれか)には感謝だ。彼らを水に浸し、膨らんでもらうことにする。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!