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三日前の朝。
悠久は羽田空港にいた。
新千歳空港行きのチケットを持って。
荷物は、機内に持ち込めるギリギリの大きさのキャリーバッグひとつ。
手荷物検査場に並んでいると、突然、襲われたという。
身体のラインを強調する真っ赤なワンピースを着た女に、持っていたハンドバッグで頭を殴られた。
悠久は頭を抱えてその場に倒れ込み、女は「あんたのせいで私の人生は滅茶苦茶よ! あんたなんか死ねばいいのよ!!」と吐き捨てて走り去った。
悠久はふらつきながらも立ち上がった。
心配して声をかけた検査員に、「離婚の腹いせなんで、大事にはしたくないんです」と言ったらしい。
悠久を殴ったのは萌花だった。
悠久は自分の足でゲートをくぐり、座席まで辿り着いた。
シートベルトをして、離陸した後はずっと目を閉じていたそうで、誰もが眠っていると思っていた。
悠久の意識がないことに客室乗務員が気が付いたのは、着陸後だった。
殴られた衝撃で脳が損傷し、ゆっくりと出血し、飛行機の中で意識を失った。
航空会社が搭乗前の悠久の様子を調べ、警察に通報した。防犯カメラにもはっきりと写っていた。
目の前で娘が逮捕され、両親は半狂乱だったそう。
身分証明書から央さんに連絡が入り、私と連絡を取るために央さんが修平さんに連絡をした。修平さんから私が妊娠中であることを聞いた央さんは、私を気遣ってみちるさんに遣いを頼んだ。
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