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騒動から逃れて安心して出産できる場所を探していたこともあって、みちるさんは札幌で出産するつもりで引き受けたというわけだ。
一連の出来事を冷静に受け止められたのは、みちるさんがお店を訪れた三日後だった。
みちるさんから話を聞いた私はショックから放心状態で、そんな私を千歳の病院まで連れて行ってくれたのはおじいさんと昌臣くんだった。
大きな車を手配して、私とみちるさんを乗せて走ってくれた。
点滴やモニターに繋がれた悠久を見て、私は一時気を失ってしまった。
目が覚めた時には、おじいさんが病院と交渉して、悠久を札幌の病院に移す手筈を整えてくれていた。
悠久が、札幌のおじいさんの知り合いの病院に移ったのは、倒れてから一週間後のことだった。
おじいさんはみちるさんの出産準備も整えてくれていた。
双子の場合は早産になることがほとんどで、可能な限りお腹の中に留めておくために入院することもあるというから、今回のみちるさんの行動はかなり危険を伴っていたと聞いた。
飛行機に乗る直前に診察を受けていたみちるさんは涼しい顔をしていたけれど、無事で本当に良かった。
「歓迎されない嫁同士、仲良くしましょう」と微笑んでいたみちるさんだったが、おじいさんの病院で健診を受けると、そのまま入院となってしまった。
そのひと月後。
みちるさんは無事に双子の姉妹を出産した。
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