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どんなに考えても、私と悠久の名前で思いつく名前はこの一つだけだった。
私の漢字が一文字だから、仕方がないのかもしれないけれど。
「二人目……の心配なんて、おかしいかな……」
目尻から涙が零れ、悠久の肩を濡らす。
このまま悠久が目覚めなければ、二人目どころかお腹の子供すら抱いて貰えない。
それでも、それを認めたくない。
ボコンッといつもより強くお腹を蹴られて、私は体を起こす。
「ごめんね、苦しかったね」
両掌でお腹を撫でる。
それでも、何度も蹴られて、痛いくらい。
「どうしたの?」
何かを訴えるかのように、何度も蹴られる。
「名前、気に入らない?」と笑う。
「どうしよう、悠久。他に思いつかないよ」
私は眠る悠久の手を握り、その手を大きく膨らんだお腹に当てた。
「すごく元気な子だから、もっと強そうな名前がいいのかなぁ」
ボンッとお腹を蹴られる。
「困ったなぁ……」
ふっと、央さんとみちるさんが双子ちゃんの名前を考えていた時の様子を思い出す。
それから、狭いアパートで漢字を連ねたノートを前に、一人で悩む自分の姿。
寂しい。
考えないようにしていたのに、一度認めてしまったら、苦しくて堪らない。
「悠久も一緒に考えてよ……」
涙が滝のように頬を流れ、顎を落ち、悠久の手を濡らす。
静かな病室に、私の嗚咽が響く。
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