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「ふ……んっ」
くぐもった甘い高温に、身体が火照る。
腰を抱き寄せ、ずるずると楽の身体をソファに横たえる。
「だめ……っ」
まったく力のこもらない腕で俺の身体を押し離そうとする楽が、涙目で俺を見上げる。
「楽久が起きちゃう」
「まだ、大丈夫だろ」
「でも――」
「――少しだけ」
「絶対! 少しじゃすまないじゃない」
「すむ、すむ」
俺の軽い返事に、楽がキュッと唇を結ぶ。
「嘘! 今日はダメ! ホントに、楽久が起きる頃だから」と言って、俺を睨む。
全く怖くないどころか、煽られているとしか思えない。
その証拠に、俺の猛りはジーンズさえ押し上げている。
それを楽にもわかるように身体に押し付けると、また睨まれた。
「ホントに少しだけ。すぐ……だから」
言うや否や、俺は楽のスカートをたくし上げた。
楽久が生まれて半年ほどは大人しく『待て』をしていたのだが、一度お許しを貰ったが最後、この一年は万年発情期状態。
我ながら、困った息子だ。
もちろん、楽久のことではない。
夢中で妻の胸に顔を埋め、ショーツに手を突っ込んでいると、グッと肩を押された。
「ん?」
「なんか、物音がした」と、楽が顎を上げて頭の向こうの部屋を見た。
いつもは全開のスライドドアがぴったりと閉じているのは、楽久が昼寝中だから。
いつも目が届くようにと、リビング続きの六畳間は楽久の部屋になっている。
俺もじっとドアの向こうに耳を澄ましたが、何も聞こえない。
「気のせいだって」と、気を取り直して指を動かす。
「あ……んっ! だめ! 絶対、楽久が起きた」
「声、しないぞ?」
顔を寄せ合ってひそひそと話していると、タンッと軽やかな足音が聞こえた。
楽の肩を掴んで、慌てて起き上がる。
同時に、彼女は乱れた服とスカートを直した。
「おきた!」
カラカラッと勢いよくドアがレールに沿って滑り、一人息子が飛び出してきた。
俺たちが隣にいるとわかっているから、目が覚めてドアが閉まっていても泣くことはない。
絵に描くと二頭身で、ぷくぷくしたほっぺたがつやつやもちもちしていて、二重の瞳がパッチリ大きくて、半年ほど前におっぱいを卒業してからとにかくなんでもよく食べるからお腹はぽっこりむちむちしている。
そして、寝起きの今は足の間に重そうなおむつを挟んでいる。
一人息子を表現すると、親バカ丸出しで語彙力は壊滅的。
とにかく可愛くて仕方がない。
が!
「おはよう、楽久」
楽がソファを下りて床に膝をつき、手を広げると、息子は重いおむつのせいでいつも以上にお尻をフリフリしながら母親を目指し、熱い抱擁にたどり着く。
「ちっこいっぱい!」
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