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「はる……かぁ」
ねだるように甘えた声で名前を呼ばれると、一瞬にして焦らしたい楽しみが、繋がりたい衝動に負けた。
ショートパンツと下着をまとめて足から引き抜くと、楽の片足を持ち上げてソファの背に踵を引っ掛ける。
もう片方の足を担ぐと、熱く潤んだ秘部に顔を埋めた。
「ひゃ……んっ!」
いつだったか、こうして舐めている最中に楽久が泣き出したことがある。
お互いに不完全燃焼のまま、湿った下着に耐えて眠った。
あれからだな、セックスに時間をかけなくなったの。
ネットの子育て夫婦あるあるで、子供に最中を見られた、とか、パパがママをイジメていると泣かれた、とか、パパとママが裸でプロレスごっこをしていたと保育園でバラされたなどなどを見てしまったこともあり、とにかく見られないように必死。
素肌で抱き合えないし、暗い部屋では楽の感じている表情も見れない。
「あっ……、あ、んっ」
声を押し殺す楽を想像しながら、蕩けた入口に指を差し込む。
「ああ……んっ!」
彼女の腰が浮く。
俺が思うに、楽は産前と産後で比べると、産後の方が感じやすくなった。
産後はセックスを嫌がる女性も多いらしいが、楽にその様子はない。
俺に合わせて無理をしていないかはいつも気にかけているが、多分、大丈夫。
指で膣襞を擦りながら、花芽を舌先で突く。ジュッと吸い付くと、彼女の全身が強張った。
「あ……、あ、や……んっ。んんっ――!」
吸い付いたまま舌をチロチロと動かすと、腰が大きく跳ねた。何度も。
達した楽の身体が脱力し、俺は身体を起こしてスウェットを脱いだ。ボクサーパンツも一緒に。
猛りが解放される。
スウェットのポケットからコンドームを出そうと探すが、脱いだ時に裏返ったスウェットのポケットが見つからない。カサッとビニールに触れた感触と音がしたから、あることは間違いないが。
早く挿れたいのに、ゴムが見つからない。
暗闇に目が慣れても、裏返ったスウェットのポケットから探し出すのは至難の業だ。
「悠久?」
せっかくいい具合に準備が出来ていた楽の落ち着いた声に、余計に焦る。
「暗くてゴムが――」
「――ママッ!!」
ホラー映画さながらに、心臓が口から飛び出しそうなほど驚いた。
条件反射から、楽は飛び起きると、俺の足の間からするりと抜き出て行った。
「マーマー!」
「はい! ママ、いるよ」
暗闇でゴム一つ探せない俺とは違って、楽は素早く下着とハーフパンツを穿いて、息子の元に向かった。
「嘘だろぉ……」
思わず声が漏れる。
項垂れた俺の膝に、チクッと小さな痛みが走る。
触ると、コンドームのパッケージだった。
探しているうちにポケットから落ちたのだろう。
やっと手にしたが、がっくり項垂れたソレには、もう無用の長物だった。
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