小説家になりたくて

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2020年 新型ウイルスが世界中に蔓延し、未だかつて無い程に世界が混乱に陥っていた。 そしてこの国も例に漏れず、開催予定であったオリンピックは延期。 国民的スターまでもがウイルスに感染して死亡するなどウイルスに多大な影響を受けた。 そしてもちろん、我々一般人の生活もがらりと変化していった。 不要不急な外出は禁止、テーマパーク等は臨時休業。 SNSには政府を批判する声で画面が埋め尽くされるなど、国民の不安とストレスは日に日に増えていく一方だった。 「暇やなあ」 関西弁でセキセイインコに話しかけている男が1人。20歳前後だろうか、顔にはニキビ跡。お世辞にも整った顔であるとはいえないようなパッとしない印象である。 この男も新型ウイルスによって日常を奪われた1人である。 県の指示により、出勤は週1日のみ。それ以外の日は自宅待機。 趣味であるドラムも2ヶ月ほど叩いていない。彼の家は自宅でドラムを叩ける程立派な家ではなかった。 普段なら車を30分ほど走らせ、割と新しい小綺麗な音楽スタジオで練習に取り組むが、ウイルスの影響により2ヶ月ほど自粛している。 何でも、ライブハウスからの集団感染が発生して全国に広まった。なんて言うものだから音楽人である彼は肩身の狭い思いをしている。 そんな日常を奪われたこの男も、セキセイインコと話終えたあと自部屋にこもり片付けをせっせとしていた。
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