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「会社の同僚に飲み会に誘われたり、合コンに誘われたり、……もともとそういう場所が好きな性格じゃ無いんだろうが、断る時に必ず心の中で言っていたらしい。自分には直が居るから、仕方ない。そんな気分にはなれないから、と」
「ねえ、よしの。僕を忘れずに居てくれることは嬉しい。……忘れて、毎日笑顔で暮らして欲しいとは思っても、やっぱり、覚えていて欲しいって気持ちはある。けど、……辛いことや嫌なことから逃げる言い訳に、僕を使うのは止めて欲しい」
「……使う、なんて……」
「言い訳、じゃなかったら?本心から、彼のことが忘れられないから、友達と笑って話す気にも、新しい出会いにも向き合えないのかも……」
よしのを庇おうとする眞里絵に、海棠は言った。
「萩原には、まだそういう関係ではないが親しくなりかけている男が居る。会社の同僚らしい」
「……え……?」
「露木はそれを知ってる。そこまで分かってて、もう一度萩原と決別しようとしてるんだ。自分を言い訳に未来から逃げるのを止めさせるために」
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