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「……分かるけど、彼も辛いだろうけど、でも……会うつもりが無かったにしても、それは男の人の勝手じゃないの?あなたを通してにしても、もう一度存在を知らせるような真似……残酷過ぎる」
「自分を理由に、老いて枯れるまでひとりで居られてみろ。……いくら、他の奴に渡すのが嫌でも辛いに決まってる。萩原はまだ二十四だ」
「それが男の勝手だって言うの。あたしがあなたに初めて会ったのは二十二の時だった。年がいくつでも、変えられない想いだってある」
ずっと、直と居られる。ここに居れば、死ぬまで。
「……直は嫌なの?あたしと居るのが」
「嫌じゃないよ。居られるならその方がいいに決まって……でも……」
「お互いに一緒に居たいのなら、なぜそうなさらないんです?」
あっさりと言った堤を二人は見上げた。
「なぜって……僕はもう死んでる。彼女を幸せには出来ない」
「幸せとはなんです。わたくしは生きてる女性と結婚しましたが、二度失敗しましたよ?」
「それは……」
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