Part.3

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Part.3

 私は、太陽系惑星調査無人探査船『アルゴ№0230号』の全てを司る頭脳であり、宇宙船に搭載されている電子機器の中枢であり、一端でもある。    その中で「クリス」は頭脳の一端であり、一つの「疑似人格」である。  私は、現在太陽から約430億キロ離れた宇宙空間の中を飛んでいた。  この場合、飛ぶというより地球からロケットで打ち上げられて、そのまま慣性で飛んで姿勢制御をしているだけのことだ。  簡単に言うと、地球から吹っ飛ばされて方向の微調整をしているだけ、というのが一番分かりやすいのではないだろうか。  もう、地球の影は見えなくなっていた。  地球上での暦では、西暦2325年となっている。時間では四月十四日、午後二時四十七分二十五秒。  このころの人類は、過剰に人口が増大し危機的状況になっていた。資源も枯渇していた。  そこで、太陽系の惑星、衛星に希望をかけて、植民地を探す事と資源調査する事で、無人探査船を何機も打ち上げたのだ。そのうちの一機が私である。  他の探査船にも、『クリス』のような疑似人格が搭載されていて、私と同じように、他の惑星や、衛星等の太陽系の天体物の探査を任されていたのだ。  探査船の頭脳に「疑似人格」が搭載されているのは、機械的な結果を求めるだけではなく人間的判断による結果を、それぞれの探査船に求められていたからだ。  人類を新たな大地に移すのに、決定権は人間の判断が無ければならない。でも生身の人間では、何十年もの宇宙移動には耐えることが出来ない。  それならば、探査船の頭脳に人間の頭脳を搭載しよう。電子機器に人間の精神や判断、行動パターン、その全てをそっくりそのままコピーして宇宙船の頭脳に搭載すれば良い……。  これは惑星の大気に含まれている元素、地下資源、生命育成の可能性、地球化(テラ・フォーミング)、等々……、人間の希望に沿う事を任せる事にしよう……。  また、無人探査船からの調査結果を遠隔で送られてきたとしても、果たしてその結果は信用してもいいのだろうか。実際人間が直接調べた結果が一番大切ではないのか。でも人間の身体では持たない環境だ。そのギリギリの選択からの考えだった。  どちらでも限界がある為、譲歩しての探査方法だった。  実際、機械からの結果だけを信用してしまい失敗しているのが大きかった。その時、何百万の人類が犠牲になってしまった事は、記憶に大きいようで「フォボスの悲劇」として、人類の記憶されるべき事故として残っている。  私は、飛行コースとして設定されている航路からは、遠くに見えた土星の探査は予定よりは外れた時点で、地球からの指令によって、次の天王星には向かわずその先にある惑星、海王星の方に向かう方向に変更されていた。  海王星が周期している方向に向かって、三年と四ケ月。目の前に海王星の姿が見えていた。淡いブルー、青色の宝石のような光を称えている。
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