トップ・シークレット(1984)――冷戦終結の影の立役者??

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トップ・シークレット(1984)――冷戦終結の影の立役者??

『コードネームU.N.C.L.E.』の冒頭に出てきた街、ベルリン。  しかも、東西に分断されたベルリン……  というと思い出すのがこの映画。  しかしなぜこれが真っ先に、という突っ込みもありそうですが。  まあ、おいといて。  少し昔の話になるが、面白い映画と言えば……そりゃ、ザッカー兄弟でしょう、という時代が確かに、あった。  彼らの友人、ジム・エイブラハムとのコンビでZAZと呼ばれていたのも懐かしい。 『ケンタッキー・フライド・ムービー』(1977年)に始まり、『フライングハイ』、『フライングコップ』、それに続く『裸の銃を持つ男』、等々。  当時はほんと、腹抱えて笑いながら観ていました。  気のおけない友人と映画観賞会となると、まず1本は必ずこの手のコメディを借りてくる、というのが定番だったわ。  何がいいかって言うと、とにかく有名どころのどぎついパロディーがこれでもか、これでもかと飛び出してくる点かな。  ジェンダー、人種、政治、宗教、すべてをまたぎ越えて全部笑い飛ばしてやるというその心意気たるやよし。  有名映画や有名俳優(と演じた役)についても容赦はない。  この映画でもまず一番かわいそうだったのが、オマー・シャリフ。  おお、どうしてこんな映画に出ようと思ったの? オマル。  そしてピーター・カッシングまで。ほんとなぜなの、ピート。  その当時人気のあった映画もたくさん取り入れ(パク)られている。ネタ探しもまた楽しい。  パロディ内容も様々。  痛烈な風刺から小僧がやりそうな単純な仕掛けからシモネタまで、ここで突っ込まずしていつ突っ込む、という前のめり感がいいなあ。  一番印象に残ったのは、東西ベルリンを壁の上空から俯瞰したシーン、そして尤もらしく歌われている東ドイツの国家。  かなり悲惨な歌詞だった、という記憶がある。  しかし本当に当時は東ドイツ国家パロディーだと思いこんでいたし。  印象に残った、というより笑い過ぎて気持ち悪くなったね、当時。  あと、キャラで最も印象深かったのが、牛くん。本物の牛に長靴履かせたりくわえ煙草させたり……  今どきの感覚では 「何かと虐待です」  とか 「あちこち差別です」  とか 「お下劣」  とか言われそう。  もちろん、現代社会から見た尺度としてはおおいなるズレも多少は発生しつつあるとも思うけどね。  でもそこを含めて、その時代に勢いのあったトレンドについて、何かと気づける良作かと思っております、はい。  特にベルリンとドイツのその後を思うと、彼らの「決死」(?)の突っ込みがあったからこそ、現在(いま)があるのでは? とまで思えてしまう。  のは持ち上げすぎだろうか……  弟のジェリー・ザッカーが監督した『ゴースト』はストーリーのしっかりしたロマンス絡みのサスペンスだった。  その手腕に、彼らの実力を見直したのも事実だけど、後に兄デヴィッドがまたこの映画の有名なワンシーンを自作『裸の銃……』でパロディにしていたのもご愛嬌でしたね。  遊び心と映画に対する熱い思いが常にたぎっている、というのが一連の作品における一番の印象かな。  対象に深い思いがあるからこそ、パロディー満載であっても一通りのストーリーを組み立てられるのだろうし、他からみても面白い、内輪受けではない作品に仕上げられるのではないんだろうか?  ちなみに、この時けっこう芸達者だなーと感心したヴァル・キルマー。  まさか後のち、かなりな活躍でびっくりでした。  性格的にどうだのこうだの?   ま、一緒におシゴトすることもなさそうなんで、気にしないよ。
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