遊星よりの物体X(1951)――危機が迫って早や65年

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遊星よりの物体X(1951)――危機が迫って早や65年

 タイトル間違えていませんか? って? 「遊星からの~」ですよね? って?  いえいえ、こちらでよいのです。  今回の映画はクリスチャン・ナイビー(ネイビー)、ハワード・ホークス共同監督(らしい、知らなかったけど)のモノクロ版。  原作はジョン・W・キャンベル・Jrの『影が行く』。  舞台はアラスカの観測基地。発掘された氷の中から現れた血に飢えし異星人(モンスター)と軍人や科学者集団との息詰まる闘い。のはずだが。  さすがに、リアルタイムでは観ていないのだが、友人たちと見比べ観賞会をしよう、ということで、『遊星からの物体X』(1982年/アメリカ 原題『the Thing』)とともに、どこぞの店より借りてきていたのであった。  主役ケネス・トビー演じるヘンドリーとマーガレット・シェリダン演じるニッキーはどちらもほどほどに華がありそうだし、極寒の地アラスカ(北極圏だったかと記憶している)という閉塞的空間での恐怖体験はSFとしてもホラーとしても興味深いし、あの有名なジョン・カーペンター監督の『リメイク』ゴコロに火をつけちまった、この映画に対する期待はいやがおうにも高まっていたわけ、ですよ。  で、内容については……今後ご覧になる方もいらっしゃるかと思うので、あまり突っ込まず。  しかし少しネタバレもありますので、もし楽しみに観てみたい方は、ここまでで。  非常に危機的状況になりそう/なっている、というのに全体ノンキというか、軽い、というか、そして特にヒロイン要らなくね? と思っちまったのはどうも私だけではなかったようで。  観賞に集まった仲間たちは、みな「オポンチ」大歓迎な連中だったので、そういう意味では非常に大受けした作品では、あった。  野菜の缶詰がどうだの、カン切りが必要じゃない? なんて、恐怖の異星人を前に、とにかく登場人物たちはどこかとぼけまくっているし。  もともと凍りついていた異星人が復活してしまったのも、確か軍人さんのあり得ないようなポカが原因だったという覚えがある。  出てくる異星人も……うん、宇宙には神秘もいっぱいだけど発想力がいっぱいいっぱいなかなー、ってかなり感じてしまった。  しかし異星人に限って言えば、私にとってはそんなのカンケーねー、ってくらいテンションMAX、かぶりつき観賞でしたね。  だって、この物体Xを演じたジェームズ・アーネスは、ピーター・グレイブスの実兄だとどこかで聞いていたので。  スパイ大作戦ファンとしては、そんなところまで見逃せなかったっす。  似てたかって? うーん……暗くてちょっとわかんなかったw    まあ、そんな世間ではどうでもいいような小ネタをほじりつつ、それなりに楽しんで視聴していたわけですね。  血も凍る恐ろしさはどこへやら、けっこうほのぼのと楽しく最後まで観ることができた、かな。  ラストで新聞記者が「空に気をつけろ!」と警告(?)を発するシーン、そこだけ異様に浮いている気がしたが、今思うと、当時の東西冷戦などをどこか視野に入れた演出だったのかも……というのはうがち過ぎだろうか。  ま、あれを東側の人がみたら 「あの軍人ども相手なら……勝てる」  と思ったかもだけどね。  カーペンター監督の方については、またいつか機会があれば。  まあ、「より」を観てからの「から」を続けて観た感想を一言で言えば 「ジョーク言う余地もねえ」  というところかな……
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