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Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!(2007)――巻き込み巻き込まれて、人生は旅
無性に旅に出たくなる、そんな子いンねがー?
そんな子には、これがお勧めだよ!
というくらい、私の中ではイチオシ度の高い映画であーる。
タイトルがなんだかなー、と思いながら観てみたのですが。
これは予想をはるかに上回る出来という気がしましたねー。
ひとことで言うと、これはコメディーのコスプレをまとったロード・ムービーというべきか。
ロードムービーとひとくくりに言われる映画群は、どれもこれも好みではあるが、その中でも展開、途上の情景描写、人間関係の描き方どれをとっても、この作品は十分に私の期待に応えてくれましたわ。
もしもMr.ビーンは好き(または「だった」)のに劇場版『ビーン』(1997年)を観て(あるいは評判を聞いて)からちょっと興味を削がれたので劇場版二作めも観てないや、という方にこそ、お勧めかと。
もしテレビでのシリーズをご覧になっていなくても、この旅に一傍観者としてつきあってみるのもまた一興かも知れない。
まず地元教会でのビンゴのシーン、いかにもウツウツとした英国の日常風景をバックに、人々がバカンスを求めてくじに群がっている感覚がよく出ている。
それに列車模型の使い方がいい。そこからあこがれの世界――カンヌへの旅路へとつなぐ手法も好きだった。
その後の騒動へと続く一連の流れもきっちりと押さえられていて、気づくと私たちも何だか訳も分からない場所に放り込まれている。
しかも、「誘拐した少年」と一緒に。
いつもは巻き込みの激しい彼が、なぜか「巻き込まれ」てもいて、少年含め大勢の人をさらに巻き込んでいく、流れの作り方に終始感心しっ放しだった。
どのシーンも愛おしい程なんだけど、特に好きなのは少年と二人、旅費を稼ぐために市場で即興のパフォーマンスをする場面。ここだけでも何度も観たなあ。
周りに何もない一本道でバイク(スクーター?)を盗もうとする所もよかった。
そして何と言ってもカンヌ乱入、なぜここでこんなに感動を覚えてしまうのだー! つうくらい、すっかり前のめりで見惚れておりましたよ。
カンヌの海岸で迎えるラストも大好き。ウィレム・デフォーの可愛いこと、カレル・ローデンのいいオッチャンぶり、久々に見ていて幸せを感じる映画でした。
エマ・ドゥ・コーヌという女優さんもマックス・ボルドリー少年も初見だったが、とてもしっくりくる感触だった。
その場所で、その人びとの中で、その状況で……という各場面の作り方がすぐれているという印象だったね。
わー、けっこう惚れているなあこの作品。
でも実のところ何か文句はないんですか? と今、聞いたね(空耳)?
いえ特に。
Mr.ビーンの『えぐみ』が嫌いだという人にも、あまり先入観なくお話としての面白さが楽しめるのでは、とも思えるが、逆に言うと
「別にこの映画の主人公に『Mr.ビーン』をわざわざ持ってくる必要は、ないのかな?」
とふと後から感じてしまって……
うん、あまりにも身も蓋もないかなそれは。
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