マーズ・アタック!(1996)――不思議な二本立てだったが後悔はしていない!

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マーズ・アタック!(1996)――不思議な二本立てだったが後悔はしていない!

 私のためにわざわざ遠くから遊びに来てくれた連れといっしょに、小田原の映画館に入ったことがあった。  そこで観たのがこれ。  メル・ギブソン主演の『身代金』と二本立てだった。  時間の関係で、身代金を先に、このマーズ・アタックを後から観たのよ。  身代金の方は、まっとうなサスペンスでそれなりにハラハラドキドキしながら観賞を楽しんだ。  初めての場所で、しかもその日の連れとは多分初めていっしょに映画館に入った、という状況でね。  ちなみに、彼のもともとの趣味はアクションもの。  特に中国・香港映画大好きというテアイであった。  私と言えば、遠くまで遊びに来てくれたお連れさんを楽しませようと選んだ映画だったから、身代金面白かったねー、と言ってくれてひと安心だった。  次の映画はマンガみたいだけど笑えるのかなあ、まあお金ももったいないし気楽に観ていこうか、というくらいの気持ちだったね。  それで、アレですから。  まともにラストなど、内容に触れますので、未見の方ご了承ください。  二人で、あ、ばっくとぅーざふゅーちゃーの人だ、と、とりあえずお互い知っている顔が多くてテンションが上がる。   が、歓声とともにヒッピーっぽい誰かが鳩を放ったシーンから、もう口あんぐりでした。  火星人たちの緑の頭と凶悪な目つき、残虐行為の数々に目が釘付けでしたわ。  あまりにも凶暴、辛辣、子どもじみていて破天荒、そしてすべてがもう……もろ直球で私好みだったねぇ。  特に好きなのが火星人の美女。  あの歩き方が妙に気に入ってしまい、後から他の友人と高尾山に登った時も、途中の上り坂に疲れてくると 「じゃ、火星人の美女行きまーす」  とあの歩きを真似て、心も体もリフレッシュしたものじゃよ(急に語り部)。  次々と登場する豪華なキャストも楽しかった。  ナタリー・ポートマンにやはり惹かれたなあ。  ジャック・ニコルソンはじめ、名優たちが完全に火星人に『喰われて』いるのがまた痛快だった。    後あとから思い起こし、しかしこの作品で一番心に響いたのは、おばあちゃんと子どもたちとが祝砲(銃声)にびくりと肩を震わせるシーンだったかな。  すでに脅威は去り、あとは平和が訪れるであろうという時、自分たちの国はほとんど滅びてしまい心もとない中でも、新しく第一歩を踏み出して行こうという希望に溢れる場面のはずなのに、ここが何とも印象的で。  国として滅ぼされ、個として生き残り、そしてまた何かの一員として進んで行かねばならない人間の切なさをひしひしと感じましたわ。  そして、強きものからとことんむしり取った後の、弱きものへ与える視線の温かさがこの監督ならでは、なのかなーとも。  侵略ものの作品の中でも特に好きなシーンのひとつだったね。  そんなこんなの中でなぜかひとり、最初から最後まで(?)完全にマイペースなトム・ジョーンズがこの映画で一番の異星人ぶりであった、かもね。 ”It's Not Unusual” ついつい、脳内を巡っている時が今でもたまに。  連れは、今までそんな映画を観たことなかったらしく、映画館を出てからも口をあんぐりと開けたままであった。    今でも(結局その連れと今でも共存関係であるが)、ここぞ、って時に言われますよ。  だから(アンタは)どこかおかしいんだよ、という言い方をされる時に。 「だって、マーズアタックが好きなんでしょ?」  あー好きですよ、好きで悪かったですねー。  すべての弱き人びとと動物さんたちと能天気さんがいつまでも栄えますように。  ピース。
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