あとがき

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あとがき

こんにちは、「とある婦夫(ふうふ)のトツキトオカ」作者のkanoです。 拙作を最後までご覧くださり、誠にありがとうございます。 書き出しから完結まで1年近くかかってしまいましたが、おかげさまをもちまして、本作を完結とさせて頂きます。 執筆応援キャンペーン「結婚、夫婦、家族の秘密」の募集を見て、何か書く事ないかな~なんて考えてたらふわっと思いついたのがこの作品です。 ぶつかって入れ替わるとかベタだし、展開も地味だし、むしろモヤモヤ抱えてて……きっと受けないだろうなと思っていたら、まさかまさかの大賞を頂いてしまいました。 そして大賞まで頂いていたというのに放置して挙句に休載扱いにしてしまうという大失態……お待ち頂いていた方がいらっしゃいましたら、誠に以て申し訳ございません。 さて、この作品……けっこう詳細まで書いていることからお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが……はい、私小説に近いです。メチャクチャ体験談入ってます。 私はこの佐伯夫婦ほどデキる人ではなかったですが……そこだけ都合よく誇張しました(笑) それはともかく、この物語において描きたかったのは2点。 一つは、男も妊娠・出産してみやがれ……! もう一つは、妊娠中・産後の周囲とのズレ ……でしょうか。 「男も妊娠・出産してみやがれ」は、理解ある男性陣には不要な言葉なので申し訳ないんですが、どうしても思ってしまった事なのでやってみました。 そしてそれを踏まえて、2点目の「妊娠中・産後の周囲とのズレ」ですが……結局、すべてはここに集約されると思います。 作中、わかりやすい悪意をぶつけてくるような「マタハラ」は出てきません。はっきり言って、そんな輩は書くまでもなく論外だと思うからです。 描きたかったのはそういったハッキリした闇と対峙することではなく、もっと正体の見えないものとの向き合い方でした。 妊娠当時、上司からこう言われたことが有りました。 「育休の間、時間あるだろ? 復帰後のために勉強しとけよ~」 これ、悔しいけど正しい。でも間違ってる。 1年もの間休職したら、お前に帰る場所なんてなくなってるかもしれねーぞと言われてるわけです……それはわかります。 でもですね、”育休中は時間ある”は大間違いなんですよ。そして何より、事情があって休職してるのにサボリ扱いされてるわけですよ。 その時は別の先輩(男性)が 「育休は体を休めたり子供の世話する期間でしょーが! 時間なんてないですよ」 と言ってくれたのですが……それでもその上司はピンと来てなかったみたいです……。先輩、本当に心から感謝してます。 上司は、ご自身にもお子さんがいらしたのに、どうしてこんな言葉が出るのか?……と思ったのが、ある意味でこのお話を書こうと思ったきっかけかもしれません。 ただ、この上司も悪意があってのことではなかったんです。軽口と言うか、この人なりに復帰後のことを(軽くですが)考えてくれての言葉だったんでしょう。 こういうズレが、大きいと感じました。 向こうだって配慮のつもりで言ってるけど、結果的に無理解であるということ。 男性に限った事ではありません。 妊娠・出産・育児に関して言えば、未婚の人は男女問わずわからないことが多いでしょう。 そして各々が抱える事情と言うのは、妊娠に限った事ではないです。 皆それぞれ何かしら抱えていることでしょう。だからこそ、お互いに少しでも相手のことを考えて、お互いに補い合っていくしかないのだと思います。 何故考えが及ばないのか? それは知らないからではないかと思います。 単純な話ですが、根深いと思います。 例えば、出産した=子供はもうお腹にいない=元通り……なんて簡単な図式ではないじゃないですか。 産後は体調を崩しやすいですし、最初の数ヶ月はろくに眠れない、でも栄養はガンガン持っていかれる……そんな負のループを、どれだけ理解しているか。 だけど例えば旦那さんが長期出張などで離れていて、奥さんの奮闘する姿を知らなければ、どれほど疲弊しているのかなんて想像しようもない。想像力にも限界がありますし。実際、妊娠からの1~2年は想像以上でした……。 知るには歩み寄りも必要かと思います。お互いに。 何だか偉そうに書きましたが、自分がどれだけ実践できているかはわからないです……すみません。 要は当時、言われてカチンときたことやモヤモヤしたことを詰め込んだのです。 ですから、読まれた方の中には、ご不快に思われた方や疑問に思われた方もいらっしゃるかと思います。 この作品は、あくまで私の一意見ですが、もしもご不快になられた場面がありましたら、この場でお詫び申し上げます。 正直なところ、これで何かを劇的に変える意見を言えたとも思いませんし、何かを強く訴える事が出来たとも思えませんが、私が見てきたことに対する結論は一つは出せたかなと思います。まだまだいくつも結論はできるかもしれませんが。 長々と書いてしまいましたが、以上でこの作品に関するあとがきとさせて頂きます。本当なら上記の内容もすべて作中に詰め込まなければいけないところ、場外で色々と語ってしまい、恐縮です。 でも私の中ではまだ燻っていることなので、また別の作品という形で、聞いて頂くことになるかもしれません。 その時は、お付き合いいただければ幸いです。 最後に、お子さんを育てながら毎日頑張るママさん、パパさんたちにエールを送ります! 皆さん、すごいです!!! 辛いことはあっても、頼れる人は絶対にいますから、頑張ってください! 私もまだまだ頑張ります! それでは、いずれまた! 本当にありがとうございました!
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