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第1章 勇者と天使
その日、少年は不思議な夢を見た。
暖かな光に包まれ、包容感が身を覆う。
体から力が湧いてくるような不思議な感覚。
これが夢なのか、現実なのが区別がつかないような感覚に落ちる。
そのまま、体が溶けるような感覚に落ちる。しかし嫌な感覚ではない。そのまま身を任せて、あるがままになる感覚になる。
ずっとこのままでいたい。そう感じていた。。
__________
その時、枕元に置いてあるスマホがけたたましく鳴り響いた。
「・・・朝か。」
ゆっくり手を伸ばし、スマホのアラームを止める。時刻は7時。
まだ体は不思議な感覚に包まれている。
窓から外を見ると、空は晴れ晴れとしており、とても気持ちのいい朝だった。
少年はゆっくり起き上がると軽く背伸びをして、机の椅子にかかっているジャージにパジャマから着替えた。そして自室のドアをあけ、居間へと移動した。
牛乳をコップに注ぎ、テレビの電源を入れる。そして椅子にかけると、牛乳を飲みながらぼーっとそれを眺めていた。
テレビでは夏休みの特集をやっていた。
(今日から夏休みか・・・。アラーム切るの忘れてたな。)
そう思いながらスマホを手に取ると7時に設定されたアラームを切った。
テレビからは夏休みの注意事項をやっている。
「今、日本は行楽シーズンですが、水辺の魔物も活発になります。危険生物を見かけた場合はすぐお近くの交番、または『討伐ギルド』にご連絡をお願いします。また、立入禁止区域へは入らないようにしてください。」
(そういや姉貴は今日から旅行とか言ってたな。)
その時、急に地震がおこった。さほど大きくはないがカタカタと周りの物が揺れ始め、ゴゴゴと少し地鳴りのようなものもする。テレビのアナウンサーも慌てている。
(最近、やけに多いな。)
そう思いながらテレビを見ていると、不意に真後ろから低い声で挨拶をかけられた。
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