第1章 勇者と天使

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紘人は少し納得したように佐々岡へ質問した。 「なるほどな、その理屈で言えば、100年前に魔王が現れて、地球の魔力が飛躍的に上がったことによって、日本の大地が隆起して大規模な天変地異が起こったわけだ?」 佐々岡はやはり無表情のまま答えた。 「そのとおりだ。見た目ほど間抜けではないらしい。」 「・・・余計なお世話だよ。」 「続けるぞ?」 紘人は無言で頷いた。 「しかし、今、その地球の魔力が、地球の魔力貯蓄量の許容範囲を大幅に超え始めたのだ。」 「なに!?」 紘人は立ち上がって佐々岡に近づいた。 「それってどういうことだ?」 「つまり、この地球そのものが、魔力によって崩壊し始めているのだ。」 「それって・・・。」 「いいことではないな。」 「呑気なこと言ってる場合かよ。」 紘人はため息をつくと佐々岡を見た。 「それじゃあ、その魔力が膨大に膨れ上がってる原因ってのは魔王ってことだよな?」 「察しがいいな。仰るとおりだ。言うまでもないと思うが・・・。」 「・・・つまり『勇者』はその原因である魔王を倒せってことだな。」 その言葉を聞き、佐々岡が初めて口元を緩めて少しだけ微笑んだ。 「その通り。だから火急を要すると言ったろう?」 紘人はため息をつくと佐々岡を睨んだ。 「なんで俺なんだ?」 「ん?」 「だからなんで俺が勇者なんだよ。」 佐々岡は再び無表情になると答えた。 「一年前から勇者候補を50人程ピックアップし、厳正なる審査を、他の天使たちと会議に継ぐ会議で話し合ったが、中々決まらなくてな。最後は私が紘人を指名し、一年以上の長期間続いた会議に、皆、飽き飽きしてたんだろうな、他意無く決定した。」 「お前の一存じゃねぇか!!!」
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