第1章 勇者と天使

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__________ 紘人はゆっくりと目を開けた。 頭がガンガンと割れるように痛み、全身はびしょびしょに濡れていた。 「うっ、気持ち悪い・・・」 どうやら紘人は気絶していたようだ。地面にうつ伏せに横たわっている。まず紘人の視界に入ったのは、あたり一面緑の密林だった。 地面は土だが、湿地帯特有の湿気で湿っており、そのせいで全身がびしょびしょだったのだ。 「ここは・・・」 紘人はゆっくり起き上がると、少し辺りを見回した。 紘人は頭を抑えると、ズキズキ痛む頭をさすった。 「・・・やりやがったな、あの野郎。」 紘人は佐々岡に移動呪文を喰らい、無理矢理、旅に出させられたのだと気がついた。 紘人はフラフラと近くの木にもたれかかった。 「どこだ・・・ここは。俺の家の近くにこんなジャングルなかったはずだ・・・。」 紘人はフラフラと軽く歩いて辺りを見回した。 「群馬か?確かあそこは秘境になってるって言ってたな。いや、でもあそこは危険な魔物の巣窟で、人なんか住んでないっていってたな。流石にそんなところへ飛ばしたりは・・・。」 しかし、あのおっさんならやりかねない様な気がした。 「くそっ、どこだ?・・・せめて場所がわかれば・・・。」 その時、真後ろから渋い声で、声をかけられた。 「ここは鹿児島のジャングル、『薩摩川密林帯』だ。」 「なあぁぁぁあぁぁ!?」 あまりにも不意に声をかけられたため、紘人は変な声をあけだながら、後ろを振り向いた。 そこには腕を後ろに組みながら立っている佐々岡がいた。 「お早う。思ったより元気そうだな。」 「いるならもっと早く声をかけろよ!!!」
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